医療法人化するメリットがあるタイミングについて詳しく解説します。

司法書士法人ホワイトリーガル

こんにちは、司法書士法人ホワイトリーガルのブログを執筆している司法書士の久我山左近です。

クリニックを個人で開業して経営が軌道に乗ってくると、検討したいのが「医療法人化」です。

「医療法人にすると節税できると聞いたけれど、本当なの?」
「年商はいくらになったら法人化した方がいい?」
「利益がどれくらい出たら検討すればいい?」

このような疑問を持っている院長先生も多いのではないでしょうか。

医療法人化には、税負担を抑えられる可能性があるだけでなく、退職金の準備、分院展開、事業承継など、さまざまなメリットがあります。

ただし、クリニックを開業したらすぐに医療法人化すればいいわけではありません。
重要なのは、「自分のクリニックにとってメリットが大きくなるタイミング」を見極めることです。

この記事では、医療法人化するメリットがあるタイミングについて、これから医療法人化したい方に向けて
司法書士の久我山左近が詳しく解説いたします。

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目次

医療法人化を検討したい7つのタイミングをわかりやすく解説します。

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医療法人化とは?

医療法人化とは、医師個人が経営しているクリニックを、医療法に基づく「医療法人」が経営する形へ変更することです。個人クリニックの場合、院長個人が医療機関の開設者となります。

一方、医療法人化すると、クリニックの開設者は医療法人となり、院長は医療法人から役員報酬を受け取る形にすることができます。

株式会社とは異なり、医療法人には医療法上さまざまなルールがあります。
そのため、「法人にした方が税金が安そう」という理由だけで決めるのではなく、将来のクリニック経営まで考えて判断することが大切です。

医療法人化するメリットがあるタイミングとは?

医療法人化を検討する代表的なタイミングとして、次のようなケースがあります。

① クリニックの利益が大きくなってきたとき

最もわかりやすいタイミングが、個人クリニックの利益が継続的に大きくなってきたときです。

個人でクリニックを経営している場合、事業で得た所得には所得税が課税されます。所得税は累進課税なので、所得が増えるほど高い税率が適用される仕組みになっています。そのため、クリニックの利益が大きくなるにつれて、医療法人化した場合との税負担の差が生まれる可能性があります。

医療法人化すると、「院長に支払う役員報酬」「法人内部に残す利益」などに分けて経営を考えられるようになります。ただし、法人化すると社会保険料や法人の維持費なども発生します。
そのため、単純に「法人税率の方が低いから得」と判断するのではなく、トータルで比較することが重要です。

② 利益1,000万~2,000万円程度になったとき

「具体的に利益はいくらになったら法人化を考えればいいの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。
明確に「○万円以上なら法人化した方が得」という基準が法律で決まっているわけではありません。

しかし一つの考え方として、年間利益が1,000万~2,000万円程度になってきた段階で、一度法人化のシミュレーションをしてみるのはよいでしょう。

たとえば、

年商8,000万円
経費6,000万円
利益2,000万円

というクリニックがあったとします。

個人経営であれば、基本的にこの利益が院長個人の所得につながります。

一方、医療法人であれば、院長の役員報酬を設定し、残った利益を法人に残して将来の設備投資などに備えるという経営も可能になります。

もちろん、

・家族構成
・他の所得
・社会保険料
・役員報酬
・設備投資
・借入金
・将来の経営計画

などによって結果は変わります。

そのため「利益1,500万円を超えたから法人化」と機械的に判断するのではなく、このくらいの利益水準になったら比較を始めると考えるとよいでしょう。

③ 年商が大きくなってきたとき

利益だけではなく、売上規模が大きくなったことも法人化を検討するきっかけになります。

たとえば、「開業当初は年商3,000万円だった」というクリニックが、数年後には、「年商8,000万円~1億円になった」というケースです。

年商が増えれば、

・スタッフが増える
・医療機器が増える
・借入金が増える
・取引先が増える
・経理が複雑になる

など、経営そのものが大きくなります。

この段階になると、単純な税負担だけではなく、クリニックを一つの組織として経営するという意味でも医療法人化を検討する価値が出てきます。

ただし、年商が大きくても経費も大きく、利益がほとんど出ていないケースでは、税務面で法人化のメリットが小さい場合があります。そのため、年商だけではなく利益も一緒に確認しましょう。

④ 毎年安定して利益が出るようになったとき

法人化を検討する際は、利益の「金額」だけでなく「安定性」も重要です。

たとえば、

1年目 利益500万円
2年目 利益2,000万円
3年目 利益300万円

というように利益が大きく変動している場合、2年目だけを見て法人化を判断するのは早い可能性があります。

一方、

1年目 利益1,500万円
2年目 利益1,800万円
3年目 利益2,000万円

と安定して利益が出ているのであれば、法人化を具体的に検討しやすくなります。

医療法人は一度設立すれば、個人事業のように簡単に元へ戻せるものではありません。
したがって、一時的な売上増ではなく、今後も一定以上の利益が見込めるかを見ることが重要です。

⑤ 院長の退職金を準備したいとき

長期的な資産形成を考えるなら、退職金も医療法人化を検討する理由の一つです。

個人事業主の場合、自分自身に退職金を支払うという考え方は基本的にありません。

一方、医療法人の役員として長期間勤務した後に退任する場合には、法人から適正な役員退職金を支給できる場合があります。役員退職金は、法人側で一定の要件を満たせば損金算入できる可能性があり、受け取る院長側でも給与とは異なる退職所得として税金が計算されます。
そのため、「今だけの節税」ではなく、「10年後、20年後にどうやってクリニックから引退するのか」という視点で法人化を検討することも重要です。

⑥ 分院を出したいとき

「クリニックが順調なので、2院目を出したい」という場合も、医療法人化を検討する大きなタイミングです。

個人開設の診療所では、原則として一人の医師が複数の診療所を開設する形には制約があります。
一方、医療法人であれば、必要な手続きを行うことで複数の診療所を運営することが可能です。

たとえば、

1院目 内科クリニック
2院目 駅前クリニック
3院目 別地域のクリニック

というように事業を拡大していくことも考えられます。

したがって、将来的に多店舗展開・分院展開を考えているクリニックでは、売上や利益だけでなく経営戦略として医療法人化を検討する価値があります。

⑦ 事業承継を考え始めたとき

院長が50代、60代になってくると、「子どもにクリニックを継がせたい」「別の医師に院長を引き継ぎたい」と考える
ケースも増えてきます。個人クリニックでは、院長個人とクリニックの経営が強く結びついています。

医療法人では、医療法人という組織と医師個人を分けて考えられるため、将来的な経営承継の選択肢を広げやすくなります。もっとも、現在新たに設立する医療法人は基本的に「持分なし医療法人」となるため、株式会社の株式を売却するような感覚で承継できるわけではありません。

事業承継まで考えて法人化する場合は、早い段階から専門家を交えて設計することが重要です。

美容クリニックは消費税にも注意

美容クリニックなど自由診療の割合が高い医療機関では、法人化を検討するときに消費税についても確認しましょう。

一般的な保険診療は原則として消費税が非課税ですが、美容整形、医療脱毛、美容目的のレーザー治療などの自由診療には、原則として消費税がかかります。そのため、「法人化すれば税金が安くなる」という単純な比較ではなく、所得税・法人税・社会保険・消費税などを含めたトータルの負担で比較する必要があります。

特に自由診療中心で売上規模の大きなクリニックでは、税理士などに事前のシミュレーションを依頼した方がよいでしょう。

医療法人化にはデメリットもある

医療法人化にはメリットがありますが、当然デメリットもあります。

代表的なのは、

・設立するために都道府県知事の認可が必要
・社会保険への加入が必要になる
・会計や事務手続きが増える
・法人運営のコストがかかる
・毎年必要になる届出・報告がある
・法人のお金を院長が自由に使えるわけではない
・剰余金の配当が禁止されている

といった点です。

特に注意したいのが、「節税だけを目的に法人化しない」ということです。税負担が多少下がっても、社会保険料や法人の維持費が増えれば、思っていたほどメリットが出ないことがあります。

医療法人化を考えるタイミングの目安

最後に、利益を基準に非常にシンプルに整理してみましょう。

年間利益の目安医療法人化の考え方
1,000万円未満急いで法人化する必要性は比較的小さい
1,000万~1,500万円法人化のシミュレーションを検討
1,500万~2,000万円本格的に法人化を比較検討
2,000万~3,000万円法人化のメリットが出るか詳細に試算
3,000万円超法人化しない場合との比較を強く推奨

ただし、この金額はあくまで検討を始めるための目安です。

診療科目、家族構成、役員報酬、スタッフ数、社会保険、設備投資、借入金、自由診療の割合などによって結果は
大きく変わります。

まとめ|利益が増えたら医療法人化を一度シミュレーションしよう

医療法人化を検討するタイミングは、単純に「年商○億円になったら」と決められるものではありません。
重要なのは売上よりも利益、そして今後の経営計画です。

特に、

・年間利益が1,000万~2,000万円を超えてきた
・毎年安定して利益が出ている
・分院を出したい
・院長の退職金を準備したい
・将来的に事業承継したい

といった状況になったら、一度医療法人化を検討してみる価値があります。

医療法人化は、単なる「節税のための法人化」ではありません。これから10年、20年とクリニックをどのように経営していくのかを考えるための選択肢の一つです。
税金だけで判断せず、社会保険料、法人維持費、退職金、分院計画、事業承継なども含めて、個人経営を続けた場合と医療法人化した場合を比較して判断することが大切です。

ここまでで、今回のブログ「医療法人化するメリットがあるタイミングについて詳しく解説します。」のテーマの解説は以上になります。

当サイトを運営する司法書士法人ホワイトリーガルでは、医療法人設立のお悩みを解決するための無料相談を受け付けています。
ぜひ、お気軽に当サイトの無料相談を利用してご自身の助成金の問題を解決していただきたいと思います。

カワウソ竹千代

医療法人設立のお悩みがあれば、お気軽に当事務所まで助成金のご相談をしてくださいね。

久我山左近

それでは、司法書士の久我山左近でした。

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