こんにちは、司法書士法人ホワイトリーガルのブログを執筆している司法書士の久我山左近です。
「クリニックの経営が軌道に乗ってきたので、そろそろ医療法人にしたい」
「医療法人を設立するには、売上や開業年数などの条件があるの?」
個人でクリニックや歯科医院を経営している先生の中には、医療法人化を検討している方も多いでしょう。
医療法人を設立するためには、人的要件や資産要件などを整えたうえで、原則として都道府県知事の認可を受け、
さらに設立登記をする必要があります。
この記事では、医療法人の設立要件とは?法人化するための条件について、これから医療法人化したい方に向けて司法書士の久我山左近が詳しく解説いたします。
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医療法人を設立するための条件を5つに分けて解説します!


医療法人とは?
医療法人とは、病院や診療所、介護老人保健施設などを開設することを目的として、医療法に基づいて設立される法人です。
医療法人には「社団」と「財団」がありますが、個人で経営しているクリニックや歯科医院を法人化する場合には、一般的に医療法人社団が利用されます。
医療には高い公益性があるため、医療法人には一般的な会社とは異なるルールが設けられています。
その代表的なものが設立認可制度です。
株式会社は基本的に設立登記によって成立しますが、医療法人の場合は、その前段階として行政庁による設立認可を受ける必要があります。
そのため、医療法人化を考える場合には、認可と登記の両方を考えて準備を進めなければなりません。
医療法人を設立するための条件は?
医療法人社団を設立する場合、特に重要となる条件は次の5つです。
条件①社員を確保する
医療法人社団を設立するためには、法人を構成する「社員」が必要です。
ここで注意したいのが、医療法人における社員と一般企業の従業員は意味が違うということです。
医療法人の社員とは、社員総会を構成し、法人運営に関する重要事項について議決権を持つ人をいいます。
株式会社でいえば株主に近い立場と考えるとイメージしやすいでしょう。
医療法人社団の設立実務では、原則として3名以上の社員を置くことが一般的です。
また、社員全員が医師や歯科医師でなければならないわけではありません。そのため、院長のほかに配偶者や親族などが社員になるケースもあります。
ただし、単純に人数をそろえるためだけの名義上の社員ではなく、社員総会に参加して議決権を行使する立場であることを理解してもらう必要があります。
条件② 理事・監事などの役員を確保する
医療法人には、法人の運営を担う役員も必要です。
原則として、理事3名以上・監事1名以上を置く必要があります。
そして、理事の中から医療法人を代表する「理事長」を選びます。理事長は原則として、医師または歯科医師である理事の中から選出します。そのため、個人でクリニックを経営している医師が医療法人化する場合には、それまで院長だった医師が医療法人の理事長になるケースが一般的です。
また、監事は医療法人の業務や財産の状況などを監査する重要な役割を担っています。監事には独立性が求められるため、理事や法人の職員との兼任などについて制限があります。
「家族だけで役員を構成すればいい」と単純に考えず、設立前に適切な役員構成を検討しておきましょう。
条件③ 医療法人を運営するために必要な資産を確保する
医療法人には、業務を行うために必要な資産を有することが求められています。
つまり、「医師免許があって、社員や役員の人数をそろえれば医療法人を作れる」というわけではありません。
法人化した後も、医療法人としてクリニックを安定して運営できる財産的な基盤が必要になります。
個人クリニックから医療法人へ移行する場合には、
- 現金・預貯金
- 医療機器
- 什器・備品
- 不動産
- 借入金
- リース契約
- 診療所の賃貸借契約
などについて整理する必要があります。
特に、個人名義で契約している物件や医療機器などを、法人化後にどのように取り扱うのかは重要なポイントです。
法人へ資産を移すのか、個人所有のまま法人へ貸し付けるのかなど、法人化後の運営を想定して準備しましょう。
条件④ 病院や診療所などを開設する
医療法人は、通常の営利会社とは設立目的が異なります。
医療法人は、病院、医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所、介護老人保健施設などを開設することを目的とする法人です。したがって、「節税になりそうだから、とりあえず医療法人を設立しておこう」という性質の法人ではありません。
個人で開設しているクリニックを医療法人化する場合には、医療法人の設立後に、個人が開設している診療所から法人が開設する診療所へ移行するための手続きも必要になります。
医療法人設立の手続きだけを考えるのではなく、保健所や地方厚生局などへの届出を含めて、法人化後に診療を継続できるようスケジュールを組むことが重要です。
条件⑤ 都道府県知事等の設立認可を受ける
医療法人を設立するうえで非常に重要なのが、設立認可です。
医療法人は、原則として都道府県知事の認可を受けなければ設立できません。
設立認可を受けるためには、定款をはじめ、
- 設立認可申請書
- 設立総会議事録
- 役員・社員に関する書類
- 財産目録
- 事業計画書
- 予算書
など、さまざまな書類を準備することになります。
必要書類や申請スケジュールなどは自治体によって異なる場合があるため、実際に設立する際には管轄する都道府県の最新情報を確認しましょう。
また、医療法人の設立認可申請は一年中いつでも受け付けているとは限りません。
自治体によって受付時期が決められていることもあるため、希望する法人化の時期から逆算して準備することが大切です。
医療法人には「年商○万円以上」という条件はある?
医療法人化を検討する際に気になるのが売上でしょう。
「年商5,000万円以上にならないと医療法人にできない」「開業して3年以上経過しないと法人化できない」
と思っている方もいるかもしれません。
しかし、「年商○万円以上」「開業○年以上」といった全国一律の設立要件が定められているわけではありません。
そのため、一定の売上を超えたら自動的に法人化できるというものでも、売上が一定額に達していないから絶対に法人化できないというものでもありません。
ただし、医療法人にはその業務を行うために必要な資産が求められます。
法人化後も継続的に医療機関を運営していくことを考え、財産的な基盤を整えておく必要があります。
医療法人は認可を受けただけでは成立しない
ここは非常に重要なポイントです。
都道府県知事等から医療法人の設立認可を受けただけでは、医療法人はまだ成立していません。
認可後、法務局で医療法人の設立登記を行う必要があります。医療法人は、この設立登記によって成立します。
そのため、
設立準備
↓
都道府県等への設立認可申請
↓
設立認可
↓
法務局への設立登記
↓
医療法人の成立
という流れを理解しておきましょう。
その後、法人として診療所を開設するための手続きや、保険医療機関に関する手続き、税務・社会保険関係の手続きなどを進めることになります。
医療法人の設立は誰に相談すればいいの?
医療法人の設立には、行政手続きから登記、税務まで複数の専門分野が関係します。
例えば、都道府県への医療法人設立認可申請については行政書士、設立認可後の医療法人設立登記については司法書士が、それぞれ専門分野となります。
また、「そもそも医療法人化した方が税金面で有利なのか」「個人所有の医療機器や不動産をどうすればいいのか」
といった税務については、税理士への相談が必要になることもあります。
医療法人化を検討するときは、単純に設立認可だけを考えるのではなく、認可・登記・税務・社会保険などを含めて
全体のスケジュールを組むことが重要です。
まとめ|医療法人の設立要件を確認して早めに準備しよう
医療法人を設立するためには、主に次の5つの条件を確認する必要があります。
①社員を確保する
②理事・監事などの役員を確保する
③医療法人を運営するために必要な資産を確保する
④病院・診療所などを開設する
⑤都道府県知事等の設立認可を受ける
そして、忘れてはいけないのが設立登記です。
医療法人は都道府県知事等の認可を受けただけでは成立せず、認可後に法務局で設立登記を行うことで法人として成立します。医療法人化には多数の書類や手続きが必要となり、自治体によっては認可申請の受付時期も決められています。「○月までに医療法人にしたい」と考えているのであれば、直前になって準備を始めるのではなく、余裕を持って
手続きを進めることが大切です。
医療法人の設立を検討している方は、設立要件を確認したうえで、認可申請を扱う行政書士や設立登記を扱う司法書士、税務を扱う税理士など、それぞれの専門家に相談しながら法人化を進めるとよいでしょう。
ここまでで、今回のブログ「医療法人の設立要件とは?法人化するための条件を詳しく解説します!」のテーマの解説は以上になります。
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それでは、司法書士の久我山左近でした。
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